掲載記事は シュピンドラー千恵子の執筆により、
オートメレビューオフィシャルサイト「安全工学講座」に連載中です。
41) 企業リスクマネジメント 第31話〜新しい年に期待すること〜
新年を迎え、この年に期待することといえば、国家のシステム改革、そして法整備につきる。昨年は、安倍内閣において、数々の大臣が不祥事を理由に更迭され、大臣の首が次々にすげ替えられた。国家のリーダーが1年間でこれほど交代する国は、世界中探してもまずないだろう。お家騒動の最中であっても外地に飛び、公務に励む姿を見るにつけ、日本が恥ずかしく感じずにはいられなかったことは記憶に新しい。当時の世論は、総理の人事任命ミスを指摘した。すべての責任は総理にあり、リーダーの資質を連日連夜叩いた。そして、その後の参議院総選挙において、野党が圧勝し、国会に新しい風穴が開いたのである。
あれから半年、防衛省事務次官が逮捕されたり、厚労省管轄の年金が消えていたことが確認されたりと、一総理の責任とは言いがたい汚職政治家達による不祥事や国家管理のずさんさが目に余るようになり、腐敗した行政の組織が表面化してきた。思うに、これまでの政治は与党の独裁政治であり、少々野党が騒いでも押し切って統治できてきたので、腐敗が見えてなかっただけだったのだ。国の管理を信用していた国民の年金は消え、無駄遣いの損失を国民の税金で補おうとし、一部の政治家や企業にカネが集まる「政治とカネ」社会が浮き彫りになり、それに国民は気がついてしまった。このおかしな国家のシステムを正常に戻して欲しいと願う。
よく現国会のことを「ねじれ国会」と耳にするが、これは正しくない表現である。与党と野党が意見をぶつけ合える環境にようやくなっただけで、ネガティブな意味合いを連想させる「ねじれ」という表現は、これまで独裁を横行できていた政治家達があたかも現状が悪くなったかのように意図的に使っているのだと思う。企業にたとえればわかりやすい。オーナー経営者が、社員(民意)の意見を聞かずに、独断で会社を好きなようにできていたのに、力を持つ新たな経営者が現れたから自由がきかなくなったといったところだろうか。これまでの日本は、水面下のカネの力で違法を免れ、便宜を受け、一部の企業だけが得をする、といったことがまかり通っていたようだが、もうその手法は通用しない(できない)方向にあると感じる。ちゃんと日本を正しい方向に導いてくれるリーダーが欲しいところだ。
また、システム改革と同時に期待したいのが、法の整備である。
例えば、公園施設や教育施設の遊具の安全確保について、法的な安全基準が定まっていないばかりか、罰則もない。遊具の設置場所が学校内で事故が発生した場合、責任の所在が、国土交通省なのか文部科学省なのか明かででない。設置基準も明確でなければ定期的な維持管理の義務付けもない。そんな不安定な遊び場で、小さな子供を遊ばせている国がわが国なのである。建築基準法だけで、遊具の安全が確保できるとは到底思えない。万が一、事故が起きた場合は、撤去するしかない。このままでは、公園施設などから遊具が消えてしまうことになる。国は、少子化社会においてより多くの子供を産めというくせに、なぜこういった身近な問題に目を向けないのだろう。
一方、企業においては、食の安全についても、老舗から高級店、グローバル企業に至るまで、賞味期限の改ざんや衛生上の不当処理などが行われていた。建材メーカーも安全試験データを改ざんするなどして、業者やユーザーを騙していた。このような反コンプライアンス経営はずっと前から行われていたに違いなく、ここにきて次々と明るみになっただけである。昨今、誰しもがおかしいことを指摘できるようになり、膿だしが始まったのである。企業の場合、会社が悪くなれば、株主は経営者を交代させることができる。
日本をよくするためには、国家も企業に習って真の民主主義国家を形成するため、一度交代することも必要かもしれない。
今年は、政治がおもしろくなつだろうと期待しているところである。
